2021年4月14日、日本眼科学会や日本眼科医会など6団体が、「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」を表明した。
小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見
小児にブルーライトカット眼鏡を装用させることを推奨する動きが一部にありますが、我々は以下の科学的観点からそれを危惧するものであります。
引用元:https://www.gankaikai.or.jp/info/20210414_bluelight.pdf
要点だけ書くと、小児がブルーライトカットメガネを装着することに疲労軽減の根拠が無く、むしろ悪影響というのである。
驚きの内容だ。
だがそれとともに、正直「ああ、やっぱりね」と思う自分もいた。
目次
デジタル機器から発せられるブルーライトは健康被害に関係ないレベル
意見書によると、パソコンやスマートフォンから発生するブルーライトは自然光と比較しても微小であるため、網膜に障害を生じるレベルではない。
また、ブルーライトをカットしてしまうと体内時計の調整がうまく働かないことも懸念。
さらに小児においては、発育過程で太陽光を十分に浴びることが必要であるため、ブルーライトのカットによってかえって小児の近視進行のリスクが高まるそうだ。
目が悪くならないように、目の負担を軽減するためにかけているはずのメガネが逆に健康に悪いという意見は衝撃でしかない。
ブルーライトカットメガネをかけていても目の疲れが和らぐことが無かった
私はソフトウェアエンジニアなので、PCと毎日にらめっこ状態の生活だ。
眼精疲労、それによる肩こりや頭痛にもしばしば襲われる。
そんな目の疲れを軽減できると謳ったブルーライトカットメガネが数年前から一気にブームになって、もちろん私も飛びついた。
もうすでに4~5年ほど愛用している。
しかし不思議なことに、私はブルーライトカットメガネをかけていても、目の疲れが和らいだと感じたことは一度もなかったのだ。
むしろ、見え方(色見)がいつもと違うので逆に疲れる印象を受けた。
しかしメディアがバンバン広告を打って、多くの人がブルーライトカットメガネをかけている現実を考えると、
私の目がたまたま合わなかっただけだ、効果があるかないかは個人差なんだと思ったり、
いや実は私がニブいだけで、効果があることに気付かないだけなのかと思ったりして結局ずっとかけてきたわけだが、
効果の根拠がないとの意見を信じてこれからは普通のメガネにしようと思う。
そう決意したら、なんだか気持ちが楽になった。
今まで(色見的に)見えにくいメガネをかけないといけないという、ある意味強迫観念から解放されたのだ。
それに夜間の運転中は非常に危険だ。ブルーライトカットメガネは青色を反射するタイプと吸収するタイプがある。
前者はレンズが青色で、後者は黄色が一般的なのだが、私は前者のタイプを付けていたので夜間に車を運転していると色々な光が青く反射されて視界を奪っていく。
そのためにわざわざ後者のメガネに買い替えたのだ。痛い出費だった。
このような意見書を出してくれた6団体には感謝しかない。
いわゆるプラシーボ効果なのか?
しかしブルーライトカットメガネをかけると目の疲れが軽減されると言う人もいる。
これはどういうことなのだろうか?
意見書には、最新の米国一流科学誌によると、ブルーライトカット眼鏡には眼精疲労を軽減する効果が全くないと報告されているそうだ。
つまりは効果が無いのであるにもかかわらず、効果があったと感じる人もいる。
とすれば考えられる可能性はプラシーボ効果ではないだろうか?
ただの粉末を酔い止め薬だと言って被験者に飲ませバスに乗せると、3割の人が本当に酔わなかったという実験がある。
ブルーライトカットメガネも同じことかもしれない。
メディアの謳い文句(宣伝)が絶妙に上手いのだろう。
まとめ
この意見書は小児に対するものだが、大人に対しても日中にブルーライトカットメガネをかける有効性は示されていない。
目の疲れを和らげる最も良い方法は適度な休憩と、画面から目を離すことだと述べられているので、わざわざブルーライトカットメガネを購入して装着する必要はないということだ。
ただ、就寝前はブルーライトをカットしたほうが睡眠の質が上がるというデータがあるので、睡眠直前だけはブルーライトカットメガネをかけると一定の効果は期待できる。
もっとも、わざわざつけ替えるのは面倒なのでそのうちやらなくなるかもしれないが。